12月に入り、クリスマスが近づいてくると、ベーカリーショップや洋菓子店で「シュトーレン」を目にすることがありますよね。
もともとドイツ生まれの菓子パンであるシュトーレン。
一体なぜ日本でも食べられるようになったのでしょうか?
シュトーレンの言葉の意味や、クリスマス時期に食べられる理由を知ると、もっとクリスマスが楽しくなります。
- シュトーレンという名前にはどんな意味があるのか
- 始まりに、どんな意味が隠されているのか
- クリスマス時期に食べる意味は何か
などについて、順番にご説明しますね。
[quads id=1]
シュトーレンの名前の意味
シュトーレンは、生地にたっぷりのドライフルーツやクルミなどのナッツ類が入っていて、表面に粉糖がたくさんかかっています。
まるで、雪が積もっているような見た目で、日持ちするのが特徴です。
シュトーレンはスペルが「Stollen」のドイツ語で、「シュトレン」と発音するのが正解です。
名前の意味は、その見た目から付けられました。
◯「長い形のパン」という意味のドイツ語が変化した
元々、長い形のパンのことを、シュトリーツェルと呼んでいて、それが変化して、シュトーレンになったと言われています。
シュトーレンの始まりとされる、長細いパンは、1329年、ドイツのナウムブルクという都市で生まれました。
最初は、司教へクリスマス断食用のパンとして献上されたのが始まりです。
白い砂糖をたくさんかけ、産着を着たイエスをイメージしていたので、クリスマスの贈り物に最適だとされていました。
さらに、ドイツのザクセン地方でも、方言で膨らんだパンのことを、「Stollen」と呼んでいました。
色々なことが合わさって、シュトーレンが「クリスマス前に食べる、長細いパン」という意味になったのではないかと言われています。
[quads id=2]
◯「坑道」という意味
シュトーレンには、まだ別の意味があります。
ドイツ語で「stollen」は坑道や柱の意味があります。
シュトーレンを切った断面を見てみると、山型をしていて、まるでトンネルのようです。
出来上がった形がトンネルのように見えたため、「トンネルのようなパン」という意味からシュトーレンとなったという説もあります。
また、柱の形状自体に意味があり、火を起こして燃やすことで再生を表す、呪術的な意味も込められていると言われています。
シュトーレンをクリスマスに食べる理由
◯布教活動に使われた
クリスマスにシュトーレンを食べるのは、キリスト教の布教の意味があります。
シュトーレンに、「イエスの幼子をかたどっている」「クリスマスに司教に献上した食べ物」という宗教的な意味を結び付けています
特に、16世紀以降の食文化の変化と宗教改革がきっかけで、シュトーレンが今の形になりました。
◯食べ方にも意味があるシュトーレン
シュトーレンは食べ方にも意味があります。
シュトーレンを食べるのは、アドヴェントと呼ばれる、クリスマスの4週間前の各週末です。
各週末に、キリスト誕生の日が、近づいてくるお祝いをし、薄くスライスしたシュトーレンを少しずつ食べて、ささやかなパーティをします。
少しずつ、シュトーレンを食べることで、クリスマスへ気持ちを盛り上げていく意味がこめられています。
また、シュトーレン自体が、日持ちする食べ物で、保存するにつれて、味が熟成し変化します。
その、熟成したおいしさを楽しむ意味もあります。
なかなか、意味の深い食べ物ですね。
[quads id=3]
シュトーレンは、最初は美味しくなかった
現在のシュトーレンは甘くてバターの風味がして、とても美味しいですよね。
シュトーレンが生まれた時代は、カトリックの教えで断食の期間があり、断食中はバター、牛乳を食べることが禁止されていました。
そのため、小麦粉、イースト、水、油だけで作るしかなく、とても不味い食べ物だったのです
しかし、次第に美味しく食べたいとローマ法王に許可を訴えるようになりました。
そして、ついに1491年。
教皇から大聖堂建設費を支払うことを条件にバター使用の許可をもらい、今の美味しいシュトーレンが作られるようになりました。
今では、シュトーレン祭りなどもあって、華やかなお祝いのお菓子になっています。
[quads id=4]
まとめ
何気なく見かけていたシュトーレンも、意味を知ると興味がわいてきますよね。
家で食べる時には子供にもお話してあげて、異文化に触れる機会にしていただきたいです。
ちなみに、日本でシュトーレンが販売されたのは1969年で、九州地方にある、千鳥饅頭本舗という和菓子店です。
日本での歴史は50年にも満たないのでまだまだ認知度は低いですが、その内クリスマスケーキに並ぶお菓子になるかもしれませんね。
[quads id=5]
[quads id=6]